2010年9月21日火曜日

先進医療について、

がんの代表的な治療法には、「外科療法」いわゆる手術、「化学療法」、「放射線療法」があり、「がんの三大治療法」といわれています。


最も根治性が高いのは「手術」ですが、一方で身体や臓器の欠損を伴い、患者の身体的負担は大きいといえます。


「化学療法は」一部のがんを除き根治性が高いとはいえず、副作用も強いのですが、全身にほぼ均等に作用するため、全身に転移したがんには有効です。


「放射線療法」は「化学療法」のように全身への働きかけはできませんが、他の治療法との組み合わせでの効果も大きく、患者の身体的負担が最も小さいため、今後も注目されています。


今回は、放射線療法の一種である「重粒子線治療」について取り上げます。


重粒子とは一般的に電子より重い粒子のことをいい、これを高速に加速したものは重粒子線と呼ばれます。
重粒子を高速に加速すると物質を変化させたり、エネルギーを与えたりできるようになります。一般の放射線治療ではX(エックス)線を用いるのに対し、重粒子線治療ではこの重粒子線を用います。ここでは、重粒子線とは、重イオン線なかでも炭素イオン線のことを意味します。


重粒子線の特徴をX線と比較すると、重粒子線の効果の高さが分かります。

1 がん細胞破壊力が強い

放射線の照射量と細胞の生存率を、X線を照射した場合と、重粒子線を照射した場合で比較して            みます。
X線を照射すると、照射量に応じて細胞が破壊され、生きている細胞が少なくなります。
X線と比べて、重粒子線を照射した方が、生きている細胞が極めて少なくなり、細胞破壊力が強いこ
とが分かります。


2 がん細胞に生じた損傷が治りにくい

がん細胞に放射線を照射すると、がん細胞のDNAが損傷を受けます。その様子をX線と比較する             と重粒子線は、DNAに致命的な損傷を与えることが確認されており、がん細胞が修復しにくいという   効果があります。


3 酸素が少なくても効果がある

がん細胞が増殖すると、がん細胞の一部に酸素が十分届かないために酸素濃度が低いところができます。基礎実験よりX線治療では、このような酸素濃度が低いところには、あまり殺細胞効果が見られないと考えられています。一方、重粒子線による治療では、酸素濃度が低い部分の細胞も破壊されますので、がん治療に大きな効果を発揮します。


このように、「がん治療」に効果の高い重粒子線治療ですが、万能ではありません。

重粒子線治療を受けるためには、少なくとも以下の3つの条件に当てはまるか否か最初に確認しています。


1 がんであることをきちんと告知されているかどうか。
 治療について正しく理解するために、まず患者様自身ががんであると認識していることが必要です。


2 転移の範囲(広範な転移がないかどうか。)
 特に元の場所から離れたところの転移(遠隔転移)が何個もある場合、基本的には重粒子線治療 を行うことはできません。


3 過去に放射線治療を受けていないかどうか
かつて放射線治療を受けたことがあるところに、重ねて重粒子線を照射した場合、どのような副作用が起こるのか、今のところまだ分かっていないためです。


また、重粒子線治療には、高額の治療費が伴います。 一般的には、1回300万円以上の費用が、必要となるのも、現実的な問題であり、それを支払うことが可能かどうかも、避けられない問題です、 最近ではそれら治療費を保障する、がん保険や医療保険もあり、関心を集めています。

今後は、それら高額な治療を、保障できる「がん保険」や「医療保険」が、一般的となるでしょう。

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